活レポ(活法研究会)

古武術整体「活法かっぽう」の症例報告とセミナー情報

2011年01月

庭球少女

副代表の栗原です。
本日、テニス部の高校生が初診でやってきました。

1月6日の記事に続き、肘ネタです。

その女子高生は、テニスの練習で利き手(右)の肘を痛めてしまいました。肘といっても、肘から数センチ上った上腕二頭筋の内側。

まずはラケットを握って構えてチェック。
施術前の状態を確認してもらいました。

問診を終えてさっそく活法に。
問題の右肘を右手で支え、左手は患者さんの右手に。ゆっくりと曲げ、手首を返し、もう一度伸ばします。1月6日に書いた記事と全く同じ手技です。

そして、もう一度ラケットを握って、「さぁ、どうですか?」

「何でもありません」

と、瞬間変化(=秒活)を期待するわけですが、そうはいきませんでした。そうではないかと思っていたので、気持ちは焦りません。負け惜しみなんかではありません(笑)

「この手技がどこまで通用するのか…」と、術の効用範囲を確かめることで臨床の精度を上げる地味な作業も必要です。残念ながら、この症例に関しては精度を下げてしまいました。

難しい場面に遭遇したときは、こういった試行錯誤で培ったものが必ず役に立つでしょう。難しい症例では、最も効果の高い手技をピタっと合わせて行かなければ太刀打ちできないからです。

第一の手技で肘関節は緩んで可動域が増しました。しかし、痛みが取れていない。ということは、痛みは肘の問題ではないということになります。次に狙いをつけたのは肩甲骨の動きです。軽く触るとくすぐったがります。患側(悪い方)の肩甲骨周辺は筋肉の緊張が目立ちます。肩甲骨の動きが悪いために、上腕に負担がかかっていると踏んだのです。

それが正しいかどうかは、やってみればわかります。導引という筋肉調整術で肩甲骨の緊張を抜きます。他の手技で大胸筋や鎖骨周りの緊張を抜きます。すると、ラケットを握った時に痛みが軽減。6割減で症状の残りは4割というところ。上腕二頭筋の過緊張部位(局所ではない部位)を探し当て、鍼で緩めました。その結果、残りの4割が消失し痛みがゼロに。

痛みを取るだけなら、上腕二頭筋の鍼だけで対応できたと思います。ただ、この症例の場合、テニスをしても大丈夫な状態にもっていくことが望まれているわけですから、施術室で痛みが軽くなっただけでは、目的に達しているかどうかわかりません。

動かしてどうなのか、という立場から考えると、動かしやすい状態にして、一部の筋肉に過剰な緊張が発生しないように整える必要があります。この症例では肩甲骨の動きに着目し、実際のテニスにおいて負荷が軽減されるように仕掛けました。それだけで症状の6割が減しました。逆に、ここに着目せず痛みだけを狙っていくと、この6割を残してしまうことになります。

この症例では、「痛みのある筋肉に鍼を使う」という選択をしましたが、肩甲骨の動きの改善という段階においても鍼を使うことができます。活法は運動改善、鍼は痛みの緩和、と使い分ける必要はありません。

この症例は初診であったこともあり、上腕に発生した痛みと肩甲骨の動きの悪さに関連があることを患者さんに理解してほしいという狙いがありました。再び肘が痛くなったとき、体の使い方を見直すきっかけになります。そして、その方がテニスの上達にプラスにもなるでしょう。

痛みを取るということだけに着目すると「どっちでもいい」ということになると思います。ただ、テニスをしても大丈夫という状態にもっていくためには、動きの改善を伴う方法の方がよいと考えます。螺旋の動きを調整する活法の手技、鍼灸で代わりになるものを知りません。

鍼灸を使わない、だからと言って整体師でもない

副代表の栗原です。

鍼灸一本でやってきた私ですが、活法を導入して施術スタイルはガラリと変わりました。先日、3年ぶりに来院された患者さんを目の前にした時、ちょっと困惑しました。3年前のカルテを見ると、今やっていること全然違うからです。

患者さんは3年前のイメージを抱いて再来院です。そのイメージを裏切ってよいものか…。だからといって、3年前のスタイルに戻すことはできません。今の方がよいと思っているので気持ち的に無理です。

活法の手技を取り入れるようになった、という違いもありますが、選穴の方法も激変です。明らかに活法が私の鍼灸に影響を与えました。経営状況をみれば、今の鍼灸の方が明らかに評価が高いです。それまでに用いていた流派はとても優れたものです。ただ、私にとっては迷いを感じる場面も多く、モヤモヤ感が払拭できないでいたのです。

その場で確実な手応えがほしかったのです。

活法で術を施したあとの手応えは、気持ちよいです。
もしかしたら、この気持ちよさに惹かれて活法にのめり込んでしまったのかもしれません。効いていることがハッキリわかるあの感触。

活法に染められた鍼灸と活法の徒手は使い分けています。特に順番はありません。その患者さんに応じて動くようにしています。

活法から入ることもよくあります。活法のみで症状がほとんど取れてしまうこともあるわけです。そうなると、鍼灸の出番がありません。鍼灸院の看板を掲げている以上、徒手だけで終わるのはどうなのか…と考えます。そんな時は勇気を振り絞って止めます。

そうして、鍼灸をすることなく患者さんは帰ります。
鍼灸院で鍼灸をすることもなく患者さんは帰っていきます。
「鍼灸をやっていないのだから安くしろ!」なんて思われていないかと、ちょっぴり不安も抱きながら見送ります。

気になるのはその後です。次に何かあった時、また利用していただけるだろうか…。心配は無用なようです。今のところ、リピート率は極めて高いです。

実は、本日の新患さんにも鍼灸をしませんでした。慢性的な疲労に数年悩まされ、肩甲骨の凝りがひどく、手のしびれまで加わりつらそうでした。

肩甲骨の動きを調整するだけで、しびれが取れました。触れてから数分後には消えていたので、実際どこの段階で消えたのかわかりません。あっけなかったので、本当に消えたのか何度も確認してしまいました。4〜5種類の手技を加えると、肩甲骨周りがフニャフニャです。ということで、鍼灸を使う機会を逃しました。

じゃあ、鍼灸はいらないのかということでもありません。鍼灸にしかできないこともあるからです。上手に使い分けたり、それぞれの発想を活かせばよいと考えています。

秒活は病勝に通ず

活法研究会副代表の栗原です。

これから、私もこのブログを担当していくことになりました。
代表橋本と共に、活法の魅力を語っていきたいと思います。

今回は、活法の即効性に注目します。

受講生のある人が、活法で身体がすぐに変化してしまうので、こんな表現をされました。「瞬変」と。「瞬間変化」の短縮形です。何を隠そう、私が活法に惹かれていったのは、この瞬間変化を目の前で見たからです。あんなのを見ては素通りできません。活法研究会顧問の碓井師範の技のことです。

あれから月日が経ち、私もそれなりに瞬間変化を導くことができるようになりました。まだまだ自分でも驚いています、そのスピーディな変化に。

このスピーディな変化は、もともと武術の裏技であることを考えると納得です。時間がたっぷりあれば、活法のような瞬間変化は必ずしも必要ではありません。活法は無駄に速(早)いです。早く終わりすぎて困ることも!

私の臨床からそんな例を一つ。

昨日、30代の女性がやってきました。
年末、観光地でマッサージを受けた直後から左腕に異変を感じ、来院時には肘に強い痛みが出ていました。曲げ伸ばしがながら何とかできる程度でした。

顔がにやけるのを必死に抑えていました。症状を観て「イケる」のがわかったからです。

さっそく、活法の出番です。

問題の肘に片手を添え、もう片方の手は患者さんの手に。ゆっくりと曲げ、手首を返し、もう一度伸ばします。多少の痛みは我慢して頂きます(無理矢理ではないので大丈夫)。もう一度繰り返します。2回目は曲げ伸ばしの抵抗が軽いことがすぐわかります。3回目はさらに。

患者さんは、再び肘を曲げ伸ばしします。


「え?さっきより痛くない!」

患者さんは既に肘の変化に気がついている様子です。
肘に触れてから1〜2分後の事です。技としては数十秒の技ですが、肘がとても痛そうだったので不安を感じさせないようにゆっくりめに行いました。

変化としても結果としても十分なレベルに達したと思います。欲の出し過ぎはよくありませんが、冷静な目で状態をワンランク上げられると考えたので次の手に出ました。

鍼を取り出し、第3胸椎の棘突起の際に鍼をしました。

「肘を曲げたり伸ばしたりしてください」

「痛くなくなりました。」

次は第5胸椎の棘突起の際に鍼。

「どうですか?」

「えー!全然痛くないっ!」

ということで終了。

用意していた施術時間は大幅に余ります。

「他にどこか気になるところはありませんか?」という余裕はありますが、すでに十分な変化が起こっているので、ここから先はいじりすぎというリスクがあります。「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。

年末年始の数日間、「痛くて…動かせない」という肘。触れてから数秒後には変化し、数分後には完全に消えているという状態。

武術や格闘技などで、開始直後に相手を倒してしまうことをよく「秒殺」と表現することがあります。それをヒントに考えました。活法ですぐに結果を出したときは「秒活」と言おうと。

「びょうかつ」と読みます。
「病勝」にも通じるので、とてもよい言葉だなぁと満足しています(笑)

本日はこれまで。

また、そのうち登場します。
本年もよろしくお願い致します。
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