活レポ(活法研究会)

古武術整体「活法かっぽう」の症例報告とセミナー情報

2014年11月

ガニ股歩きと腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)の関係

副代表の栗原です。

骨盤、腸腰筋、ガニ股の関係を詳しく解説しました。

昨日、「孫のガニ股歩きを直してほしい」という要望があったので施術しました。クライアントは以前に通院していた方の小学2年生のお孫さんです。私の鍼灸治療が「動き」にフォーカスしていることを感じて、「何とかしてもらえるだろう」と踏んでの予約でした。

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私の息子も同じ小学校2年生。このくらいの年齢ですと、鍼をすることもあれば活法(整体)のみのこともあります。今回は迷わず活法のみで。

広いところで歩いてもらうと、確かに、脚を外の方に振り出すような歩き方です。わざとそういう歩き方をするキャラもいますが、小学2年生ですから体の問題です。

「ガニ股」となる原因はいくつか考えられますので、ベッドに乗ってもらってチェックしました。お母さんとお祖母ちゃん、2名のギャラリー付きです。

 1.膝が曲がっていないか(O脚のチェック)
 2.股関節が外旋しすぎていないか(きちんと内旋できるかどうか)
 3.腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)の緊張


1と2は全く問題ありません。キレイで真っ直ぐな脚をしています。

3でひっかかりました。腰椎から股関節に内側をつなぐ骨盤内を通る巨大な筋肉が腸腰筋です。この筋肉の主な働きはもも上げです。サッカーボールを太ももの上でポンポンとするリフティングを思い浮かべてください。この時、腸腰筋(主に腸骨筋)の力でボールを蹴っています。

他に典型的なのはスキップです。腸腰筋がうまく使えないと上手にスキップができません。逆に言えばスキップが上手な人は腸腰筋の使い方が上手だと言えます。

スキップの姿勢


大腰筋と腸骨筋で構成される腸腰筋ですが(厳密には小腰筋もあります)、それぞれに役割が少し違います。骨盤から始まっている腸骨筋が縮むと、骨盤を基準にして大腿が屈曲します。膝が胸の方に近づく動きです。ポイントは骨盤と大腿骨の距離が縮むような動きです。

腸骨筋


いっぽうの大腰筋は、胸椎の12番目から腰椎の1〜5番目から始まっています。ですから、腰椎と大腿骨の関係です。腰椎と大腿骨内側(小転子)の位置関係から、大腰筋が機能するのは大腿骨が後ろに引かれた状態から戻る動きです。大腰筋は、伸ばされてから戻るという性質が主になっていると思われます。伸ばされたら戻るという「伸張反射」が大腰筋を考える上でのポイントです。

大腰筋



スキップで言うと、膝が高く上がっている方が腸骨筋、蹴り脚になっている方が大腰筋、というわけです。スキップは腸骨筋主導の動きと大腰筋主導の動きを瞬間的に発動し、それを交互に繰り返すという、まさに腸腰筋のためにあるような動きです。ピョンという瞬間的な筋肉の使い方が大事です。その蹴り脚のピョンが大腰筋の伸張反射を引き出すからです。


ここで、ガニ股歩きに話を戻しましょう。

大腰筋が緊張しすぎて働いていないと、片膝を抱えようとすると、もう片方の腸腰筋(特に、腸骨筋)が大腿を一緒に引き連れてしまうので、太ももが浮き上がって骨盤が捻れるように傾いてしまいます。この状態は後ろ脚をまっすぐ後ろに残せないことを意味します。

例えば、右脚を抱えていれば、骨盤の左側が浮き、全体は右の方へ回旋します。右脚が前に出た時、骨盤が右回旋しやすい状態です。そもそも骨盤が右回旋しているのですから、脚を真っ直ぐに振り出しても右前方になってしまうのです。

大腰筋がよい状態
<右脚を抱えた際に左の大腿が浮いていない>

大腰筋が悪い状態
<右脚を抱えると左の大腿が浮き、骨盤が右に捻れる>

こうして考えると、原因は、振り出し脚の方ではなく、後方に残る蹴り脚の方です。ただ、実際には左右それぞれの腸腰筋に異常があるケースがほとんどですから、左右とも調整の必要があります。

活法研究会では、伸張反射を利用した調整法を2種類用意しています。大腰筋の牽引では、スキップのピョンの状態を術者が瞬間的に作り出し、伸張反射がしっかり出る大腰筋の状態を作ります。大腰筋を調整すると、ピタリとくっついている腸骨筋も同調して収縮力が回復します。

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<大腰筋の牽引>

導引は、大腰筋と強調して働く筋肉を一緒に巻き込むことができるので、大腰筋とその周辺の筋肉が調和します。この中に腸骨筋も含まれます。筋肉の連動性をより高めたいときは導引を用います。

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<大腰筋の導引>

今回の小学2年生の症例では、こうした技術を用いて調整を行いました。1回の施術でピタリと直るものではありませんから、こうした癖の修正は自己トレーニングが大切です。簡単なトレーニング方法をお伝えして初回を終えました。1ヶ月後にまた見せて頂く予定です。


■勉強会のご案内

鍼灸師のための古武術医方(整体&鍼灸)
初めての方におすすめのセミナー 今年は残り2回!
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整体入門 肩こり編 12/14(日)〜15(月)
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肩こり編では、骨盤から肩こりを調整する方法があります。

努力は無駄なのか

■才能と環境で決まる世界

副代表の栗原です。

活法研究会で講師を始めてから5年が経ちました。指導者の端くれとして、素通りできないテーマがあります。

それは「努力は報われるのか」というものです。

昨年に溯ります。為末大さんがツイッターで「やればできると言うがそれは成功者の言い分であり、例えばアスリートとして成功するためにはアスリート向きの体で生まれたかどうかが99%重要なことだ」と書いて波紋を呼んだことがありました。

いわゆる「炎上」した内容ですので、自分の立場を宣言すると危なっかしいことになりそうですが、思い切って書いておこうと思います。

まず、この言葉は陸上のトップアスリートと勝負をしていた為末さんの言葉であることに大きな意味があると思います。為末さんが世界と戦いながら感じた「実際」であるから、これは素直に受け止めておくべきでしょう。その上で、「努力する意味」について考えてみたいと思います。

報われない努力が好きな人はいません。「努力に意味がある」と言われても、いつまでも結果が出なければ慰めの言葉に聞こえてしまいます。

「アスリートとして…」という条件が付くと、為末さんのおっしゃるように、「才能と、環境がまず重要で、それが努力よりも先にくる。」は正しいと思います。金メダルは1つしかありませんから、頑張った全員が金メダルを取れるはずはありません。

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(写真:技術顧問=碓井誠)


■アスリートとビジネス(仕事)の違い

為末さんの主張は「為末大さんがハードルを選んだ理由」を読んだ方がわかりやすいと思います。「走ることと空中動作の『合わせ技』で勝負できる競技を探した。」とあります。さらに、「人生において『素の肉体勝負』をする機会はまずない。」という発言をされています。

こうした発言は、仕事にそのまま当てはめることできます。仮に暗算がいくら速くても、その能力だけで勝負できる仕事はありません。何か別のスキルと組み合わせなければ、暗算力は社会に活かせません。

私たちの職業(鍼灸師)で考えてみても、同じです。指先がいくら器用でもそれだけで患者さんを救えません。器用さは武器になっても勝負で大切なのは総合力です。

そもそも、ビジネス(仕事)には金メダルに相当するものがありません。売上げが多い方が偉いという考えもありますが、それは一つの価値観でしかありません。仕事には様々な価値観が入り込む余地があります。

ですから、誰の技術が世界一であるかはあまり重要ではなく、目の前にいる患者さんのために準備段階からベストを尽す方が重要だと思います。医療とは常によい結果が得られるわけではありません。治らなければ、全てが無駄になるかといえばそうではありません。結果が出なくても「治療に取り組む姿勢」が評価される場合だってあります。

とはいえ、そこに甘えてよいはずはなく、よい結果を出すことを常に考えるべきです。治療には、スポーツのように厳格なルールがありません。危険な行為やモラルに反する行為がNGなだけで、実は自由なことが多いのです。特に自由診療は、アイデアで勝負する世界です。「保険が効かない診療」ではなく、「自由なアイデアで勝負ができる診療」です。

つまり、為末さんが現役時代にやっていた、まさに「合わせ技」の勝負なのです。合わせ技が自由自在なジャンルにおいて、生まれながらの才能というものは意味をなさなくなります。なぜなら、自分が得意なものを合わせて自分の勝負球を作ればよいからです。頭脳も肉体も、自分の特性を知った上で、それを活かす組み合わせを考えることが重要です。

合わせ技が自由ならば、努力は報われます。ただ、私たちは「努力」という言葉は使わず「楽しむ」ことだけを考えています。だから、私たちが行う勉強会は、技術を楽しむことに主眼が置かれています。

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(写真:デモンストレーション風景)


■活法は総合力

活法も、まず自分の特性を知ることが重要です。そして、自分自身の肉体を活かす方法を考えることから始まります。体が大きい方が有利、力がある方が有利、という技も中にはありますが、逆に体が小さい方が有利、力を使ったらうまくいかない技もたくさんあります。

男性だから有利、女性だから有利、ということもありません。ルールが厳格なスポーツと違い、活法において、活法向きの体なんてものは存在しません。活法を始めるとわかりますが「自分の体の使い方を知る」ということに多くの時間を割くことになります。

この部分に関しては座学では無理です。実際に動いてみなければわかりません。やっていくと、自分の体を自在に操れることが、相手(患者さん)の体を操る第一歩であることに気がつきます。

鍼や灸だけを行う鍼灸師に対して、活法に取り組む鍼灸師は「己を知る」のがとても早いです。鍼灸でも体の使い方を学ぶことができるかもしれませんが、小手先でごまかせてしまうため、どうしても手先の器用さで比較されがちです。

手先が器用ですと一見上手に見えますが、重要なのは体全体の使い方です。剣術家が小手先で刀を振り回していないように、鍼も本来は小手先で使うものではありません。軽い道具ではありますが、体全体で使うのが本当の使い方です。

鍼灸師が整体を学ぶ意義は、テクニックを増やすだけではありません。鍼灸の使い方を見直すきっかけを与えてくれます。同じツボを使っているのに、鍼灸師によって効果が違う理由も見えてきます。

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(写真:参加者みんなで記念撮影)


■勉強会のご案内

活法研究会では、2つの方向から鍼灸師のレベルアップをサポートしています。整体術(活法)と古武術鍼法です。

古武術鍼法は、整体術を使い込んでいる人ほど早く習得できます。普段から体の使い方を意識しているからです。

「活法と鍼、どっちを先に受けた方がよいですか?」と訊かれることが多いので前もって
説明しますと、整体を先に受講する方が理想的です。鍼をする時に必要な体の使い方が上手になっているからです。

ただ、セミナーの日程は限られているので、スケジュールで都合がよい方を優先しても大丈夫です。古武術の経験も必要ありません。仮に、ツボの名前を忘れてしまっていても大丈夫です。私たちのセミナーは感性に訴えかけるものです。みなさん、同じ位置からスタートします。

鍼灸師のための古武術医方(整体&鍼灸)
初めての方におすすめのセミナー 今年は残り2回!
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整体入門 肩こり編 12/14(日)〜15(月)
古武術鍼法<脊柱編> 11/30(日)〜12/1(月)
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祝!111回、延べ参加者数1500名突破!

活法研究会 代表 橋本聖樹です。

本日は11月1日。
前回の「入門セミナー腰痛編」で活法研究会が開催したセミナーの合計が111回に達しました。

数字がシンクロしたので、思わず投稿しました!

2005年から「碓井流活法」を学び出して、現在9年目に突入しています。「この素晴らしい技術を広めたい」という強い想いから、T3LABOという小さい勉強会を始めました。その参加者の中には栗原(当会副代表)もいました。そして、2009年、栗原と共に「活法研究会」と名称を変更し、新たなスタートを切りました。

はじめは、知り合いが集まる小さな会でしたが、年々受講者が増え、毎回多くの鍼灸師の方々にご参加頂けるまでに成長しました。

参加していただいている会員様には言葉で表現できないくらい感謝しています。
本当にありがとうございます!

当会のセミナーは、できるまでアドバイスするコーチング主義です。ただ講師陣のデモンストレーションを見て帰るのではなく、実際にできるようになって帰ることができます。臨床ですぐに結果が出るため、活法に魅せられてします鍼灸師がとても多いです。そのためでしょうか、リピート率は、なんと82.6%にもなります!

今後も当会では、鍼灸師の方々に満足していただけるよう努めてまいります。

最後になりますが、いつも温かく見守ってくださっている碓井技術顧問、私の思いに賛同してくれた副代表栗原と専任講師の秋澤に心から感謝します!


さあ、明日は、「基礎セミナー腰背編」です!
南は福岡から北は栃木まで沢山の方々が参加してくださいます。
明日もしっかり活法を伝えてきます!

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