経絡は何のためにある


副代表の栗原です。
前回は、いわゆる経絡治療の話で脱線しました。話を戻します。


■知識のない方がわかる!

経絡と呼吸の関係と解説します。結論から書いてしまうと、経絡は「呼吸調整のための(無形の)ツール」です。経絡は呼吸調整のためにあると考えると、全てがうまく説明できます。

こらから解説していくわけですが、次の2点を意識して読んで頂きたいと思っています。

 1.シンプルに考えてみる
 2.つくった人の気持ちになる

鍼灸学は、古代の中国で発祥したと言われていますが、この辺は疑う余地はないでしょう。その当時、現代人のように医学知識もありません。それでも、人が生命の危機に遭遇した時はどうにかして救おうと努力していました。


■生きている人間と死んだ人間の違い

生きている人間と死んだ人間の違いはなんでしょうか。

まず呼吸があるかないか。息をしている者が生きていて、息をしていない者は死んでいます。次に血液を保っているか。何かの事故で多量の血液を失うと死んでしまいます。

呼吸と血液を保つことが生命を守ることです。この他に食べることも必要です。最後の食べ物についてはテーマから外れるので無視すると、病気の際には、呼吸を整え、血液を浄化することが必要になります。呼吸と血液の共通点はすぐに脈だと気がつきます。呼吸が速くなれば、鼓動や脈も速くなります。この相関関係にすぐ気がつくでしょう。


■学者の血が騒いだ

血液が流れていることに気がつけば、興味は血液の巡行ルートになります。まずは体表から見える血管を指標にするはずです。四肢は血管がうっすらと見えますが体幹部は見えません。経絡は、四肢の血管と共通点がかなり多く、体幹部では共通点が見当たりません。

四肢において、血管走行と経絡(経脈)走行は類似点が多く、体幹部においては類似点が少ないことがわかります。こうしたことから、経絡(経脈)は血管を指標につくられたと考えるのが妥当でしょう。周りを納得させるにも、目に見えないものより見るもので説明する方が楽です。

原始ツボ所属ツボ

理論的に仕上げようとするあまり、多少の無理をしているでしょう。こじつけた話には注意が必要です。東洋医学を否定したがる人の餌食になります。


■気の存在に気がつく!

こうするうと、ツボは血液が滞りが出やすい位置だと言えます。この時点では「気」ではなく「血液」です。ですから、原始的な鍼治療は、瀉血に近いものだと考えられます。

呼吸が止めたら苦しくなるので、空気中には生命を支える重要な何かがあるはずだと考えます。それが、血液と共に全身に巡っていることにも気がついたのでしょう。その何かを「気」という言葉で表すなら、「気」は「血液」と一緒に全身を巡りながら生命にエネルギーを与えているものになります。

このようにシンプルに考えていくと、現代医学としても理解できる話ですし、東洋医学とも矛盾しません。

血液の浄化呼吸の調整

最初は血液がターゲットだった鍼も、次第に用途が拡大されていき、「気」の巡行を助けるだけなら、わざわざ血を出す必要もない、と考えるようになっていったのでしょう。「気」とは、呼吸によって体内に運ばれた「何か」のことです。脈動と呼吸に関係している「何か」です。

その後、「気」という言葉がいろいろな意味で使われ始めていますが、わからないものを「気」と呼んでいたと理解してください。そうすれば、「気が何であるか?」を議論する必要はありません。


■鍼の、本当の目的は呼吸調整

このように考えると、経穴(ツボ)への鍼というものは呼吸を調整しようとする意図から生まれたものだと言えます。そもそも、鍼とは呼吸調整の方法なのです。呼吸を調整することによって病気から回復しようと考えたのでしょう。

鍼というと、鎮痛作用を思い浮かべる人が多いです。しかし、ここに説明したように、呼吸の調整のために(血を出さない)鍼が使われ出したと考える方が妥当なのです。

鍼灸を受けると、呼吸がゆっくりと深くなります。呼吸が楽になるという経験を多くの方が語っています。それは当然。呼吸が整うポイントがツボなのですから。


■まとめ

経絡の誕生


次に着目するのは、呼吸が運動の一つであるということです。運動系を整えると呼吸系も整ってきます。次回はその辺りの話をします。活法の話に入っていきます。

つづく…「呼吸の話(4) 運動と呼吸」

活法研究会(鍼灸師のための古武術医方)
http://kappolabo.jp/

活法1日体験会(東京)
上半身編 2015年2月22日(日)
下半身編 2015年3月1日(日)