副代表の栗原です。

今回は、「整動鍼って何なの?」という疑問に答えます。整動鍼を使っている人も、おさらいだと思って読んでください。

整動鍼は、名が表す通り「動きを整える鍼」です。詳しいことを説明する前に、考案者である私の頭の中から解説します。

私が目指しているのは、『北斗の拳』のケンシロウが操る「北斗神拳」です。ふざけていると言われても、実際そうなのだから仕方ありません(笑)


鍼灸師だからケンシロウのように自信をもってツボを使いたい



■ツボの作用を見える化

もちろん殺人拳を目指しているわけではありません。北斗神拳では経絡秘孔と言われるツボを、指で突き刺すと内臓が飛び出て死んでしまいます。ツボの作用が内臓に届き破壊されてしまうのです。

ツボの作用が内臓の届くところまでは、鍼灸医学そのものです。鍼灸医学の基本は体表にあるツボを刺激することで内臓を元気にすることです。北斗神拳は、裏のツボを使うことでその逆をしているのです。

現実的には、どこのツボを選んでも内臓が破裂するようなことはありません。説明するまでもなく、経絡秘孔は漫画の世界です。『北斗の拳』が画期的なのは、ツボが引き起こす現象を視覚化したことです。絶対にあり得ないと思う現象なのに、頭のどこかで「もしかしたら…」と思ってしまうのは、東洋人だからなのか、私がそういう人間なのか。

ツボは、本来の使い方をすると内臓の調子が上がります。ただ、これを視覚化するのはとても難しいわけです。昔、『ミスター味っこ』という漫画がありました。「美味い」という感覚を表現するために、ファンタジーな世界が突然現れて、その世界で暴れまくるという画期的(破壊的)な手法を使っていました。

「マズイ」は、食べ物を吐き出してしまう、など大きなリアクションがあるのに、「美味しい」は、「美味しい」と声に出したり、目を丸くするくらいの地味な現象です。

「良い」という感覚は確実にあるのに、それを表現するのが難しいわけです。鍼灸にも言えることで、「効いている」を表現するのが難しいのです。先達は、脈の拍動(脈診)や舌の色つや(舌診)などで判断するなど、工夫をこらしてきたのですが、それでもわかりにくいのです。

特に脈診は、変わっているのを確認できるのは術者のみです。舌診も、舌を出しているうちに色つやはどんどん変わってきます。

どちらもその変化を感じ取れるのは、磨かれた感性のみです。その感性を磨くのが鍼灸師の仕事、という言い方もできますが、どこまで磨いても、誰からも評価してもらえない不安が残ります。

『北斗の拳』のように、効果がハッキリと出ている客観的証拠がほしいのです。そうすれば、ケンシロウが「お前はもう死んでいる」と自身を持って言うように、「あなたはもう良くなっている」と言えます。



■関節可動域をスパスパ変える活法

そんな私が、ある時、活法(かっぽう)に出会います。動きがあっという間に改善することに衝撃を受けました。それまで、いろいろな鍼灸を見てきてつもりですが、活法のように関節の可動域がスパスパと変わる様子は見たことがありませんでした。

その時に「これだ!」と思ったわけです。

同じことが鍼灸でできるとは思っていなかったので、まずは活法を一生懸命やってみようと思いました。目の前で起こる現象が、どういうメカニズムで変化するのか興味をもって観察していました。活法のメカニカルでロジカルな部分にどんどん惹かれていきました。

不思議な現象も、脳科学的な視点から見ると説明できることが多く、活法に先進性を感じました。古武術の裏技である活法が新しいと感じたのです。

活法は戦国の世で生まれた技術だけあって、「動けるか動けないか」を重視します。そうした背景から筋肉調整にずば抜けているのです。



■連動という視点

筋肉の仕事は縮んで関節を動かすパワーを作ることです。縮んだあとは伸びて、縮みに備えます。パワーを発揮するには、適度に弛緩している必要あります。だから、武術やスポーツの世界では脱力が大事と言われるのです。

筋肉調整を一言で言うならば、筋肉の張力を最適化することです。活法の優れたところは、一つ一つの筋肉の個別に調整するのではなく、一連の動きに関わる筋肉を同時並行的に調整できることです。これを「連動を整える」と言います。

この事実に注目していると、次第に「鍼でも出来るのではないか」と思うようになりました。解剖的な単位で、引っ張り合う関係を見ると起始と停止です。鍼灸師なら学校で習っています。それを利用した鍼は昔からあります。

しかし、

引っ張り合う関係を、連動から解いている鍼灸はなかったのです。引っ張り合う関係は、動きのパターンによって変化してしまいます。時にはA点とB点が引っ張り合って、時にはA点とC点が引っ張り合います。

時と場合によって、引っ張りある関係が変わります。解き明かすのは、複雑なので先の見えない作業です。

しかし、これができたなら、活法のように、誰の目にもわかる効果が出せるようになるのです。ケンシロウのように、自信をもってツボを使うことができるかもしれないのです!



■ツボで動きが整うことがわかった!

それを実現させつつあるのが、整動鍼です。

脊椎の一つ一つ、指一本一本に至るまで、動きを整えるツボを導き出しています。肩関節、股関節、顎関節なども、整えるツボが分かってきています。

私個人の臨床だけでなく、品川のカポスの臨床データもフィードバックし、最近では会員さんからの情報をもとに、新しいツボが見つかったりしています。

「動きを整える」という発想から、運動器疾患にしか利用できないと勘違いされている方が多いです。確かに、運動器疾患は、整動鍼の独壇場になると思います。

人間は動く生き物ですから、生命活動に動きのないものはありません。考える時も、表情や目の動きに出ます。だから、動きを整えるということは、生命活動そのものを整えているのと一緒です。動きを変えると、例外なく内臓や精神が変化します。

実は、2015年の暮れに「整動」という言葉を初めて使いました。それまでは、古武術の裏技である活法から発想を得たので「古武術鍼法」でした。ルーツはわかるものの、どんな効果が得られるのか漠然としてしまうため、改名を決意しました。

整動鍼セミナーの様子_450



■セミナー告知

私が、活法に先進性を感じたように、今、多くの鍼灸師が整動鍼に先進性を感じています。おかげさまで、開催するセミナーは満席が続いています。来年の前期(2月〜6月)の一般募集(会員の先行予約は終了)を開始します。男臭い説明となってきましたが、女性鍼灸師も参加しています。

◎3月26日(日)〜27日(月)の四肢編(東京会場)は、残り1名。
◎5月21日(日)〜22日(月)の脊柱編(札幌会場)は、まだ余裕があります。

ウェブサイトのセミナー案内の更新が間に合っていませんので、スケジュールのページをご覧ください。カリキュラムについてこちらです。

活法研究会 kappolabo.jp