副代表の栗原です。

経絡と呼吸(前編)」のつづきです。

経絡と呼吸の関係について書く予定でしたが、予定を変更して、いわゆる経絡治療の歴史を間に挟みます。なぜ私が経絡治療の前に「いわゆる」とつけているのか、この記事を読むとお分かり頂けると思います。

■昭和鍼灸と柳谷素霊

『昭和鍼灸の歳月 経絡治療への道』は、鍼灸師であれば読んでおいた方がよい本です。ここには、いわゆる経絡治療がどのように築かれていったのか、事細かく書かれています。

昭和鍼灸の歳月

いわゆる経絡治療は、柳谷素霊先生の一門が古典的鍼灸を具現化したものです。時代は大東亜戦争の頃ですから、今から70年くらい前のことです。「脈診」を最重視する方針で固められた一派です。

当初は「古典的治療」を言われていたものが「経絡的治療」と名を変え、最後には「『的』はいらないんじゃないか」ということになって、「経絡治療」と言われるようになりました。この本に書かれていることを20秒で理解できる図をつくりました。

古典に還れから経絡治療まで


■経絡治療の定義

経絡を使う唯一の流派のように見える名前ですが、正しい理解は「脈診メインでやっていきましょうの会」です。「脈診」の「脈」は橈骨動脈、つまり手首の脈のことです。

「経絡治療は、脈診だけでなく腹診も切経も重要」という反論もあるでしょうが、この本には脈診をもっとも重視していたとしっかり書いてあります。

この脈診をメインとした鍼灸を標準にしようと汗を流したのが、(故)竹山晋一郎先生です。先生は、経絡治療を次のように定義しています。

経絡的治療法とは、鍼灸術固有の診断術により、経絡の変動を察し、その変動を調整することによって身体的違和感を調整するものである。診断術としては望診、腹診等も用いられるが、主力のおかれるのは脈診と触診である。脈によって経絡の変動を察し、触診によって経絡上における陷下、硬骨、感応点を探り、それらの変動を調整するものである。(『昭和鍼灸の歳月』より)

この本をじっくり読むと、竹山先生が、自ら先導して作り上げた「経絡治療」に強くこだわっていた様子がわかります。

経絡治療の反対者

素霊先生は誰の意見もよく聞く人だったようです。素霊先生が目指していたものは、もっと緩いものだったようです。ある意味、現代は何でもあり。私も信念に基づき好きなようにやっています。2015年の鍼灸を見たら素霊先生は何を思うのでしょうか…。

素霊先生のスタンスはこのように説明されてます。

長い年月の歴史の批判を通って生き抜いてきた古典的鍼灸術を中心にしていくのが当面の正道であり、そしてなお、家伝であろうが秘伝であろうが、たとえ巷のじいさんばあさんの灸点であろうが、効くと事実があればそれも取り入れる必要があり…(『昭和鍼灸の歳月より)

次回は呼吸の話が完結です。

つづく…経絡と呼吸(後編)

活法研究会(鍼灸師のための古武術医方)
http://kappolabo.jp/

活法1日体験会(東京)
上半身編 2015年2月22日(日)
下半身編 2015年3月1日(日)